2018.11月 風疹について|大田区蒲田、雑色の内科・眼科

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2018.11月 風疹について

風疹や麻疹(はしか)は一度かかれば免疫は一生続くか?

これまでウイルス感染症に自然感染すると一生罹らない(終生免疫)と考えられていましたが、免疫を継続する為には風疹ウイルスに曝される機会が必要であることがわかってきました。風疹に一度罹患するかワクチンを接種すると風疹への免疫を獲得出来ますが、そのままでは免疫は徐々に弱まり無くなってしまいます。ただ、風疹への免疫がある程度以上残っている状態で風疹ウイルスが体内に侵入すると、ウイルスは即座に排除され感染はしませんが、この際に少なくなっていた免疫が強化されます。これをブースター効果と言います。少し前でしたら、ワクチンの接種率も低かった為に周囲で罹患している人がしばしばおり、これがブースター効果のキッカケになり免疫が生涯続きましたが、今やワクチン接種率も上昇し風疹ウイルスに曝される機会が無くなりつつあります。全くブースター効果がないと免疫は徐々に弱まります。免疫の持続期間は自然感染で40~50年、ワクチン1回接種で約10年といわれています(緒論あり)。そのため、20歳前後の特に妊娠を考えている女性は先ずその前に風疹の抗体検査と抗体検査の結果によっては予防接種が薦められます。

2018年の風疹流行の理由とワクチン接種の必要性

2012-13年に風疹が流行しましたが、今年は再度流行しています。国立感染症研究所によると、今年に入って10月14日までの患者数は1289人に上ります。1000人以上が男性で、そのうち30代から50代が約8割を占めています。その原因は「ワクチンの接種を受けていないから」と考えられ、厚労省は抗体検査や予防接種を受けるよう呼び掛けています。風疹ワクチンの接種は、風疹ウイルスの胎内感染によって先天異常を起こす感染症「先天性風疹症候群」(心臓病、白内障、聴力障害などの障害を持った赤ちゃんが生まれる可能性)を防ぐために1977年から中学生の女子を対象に行われてきました。一方で男性は、1995年に1~7歳のすべての子どもを対象に、ワクチンの接種を受けるようになりました。そのため、30歳以上の男性には風疹ウイルスに対する免疫が無い人が多く、急激に流行が拡大してしまったと考えられています。

大田区では先天性風疹症候群の発生をなくすため、抗体検査をお勧めしています。平成30年4月1日から平成31年3月31日までに抗体検査・予防接種を受ける方で大田区に住民票があり、19歳以上の妊娠を予定または希望する女性(妊婦は対象外)および19歳以上のパートナーの男性(妊婦のパートナーも含む)は、下記の全てに該当する場合は抗体検査の助成対象者です。1.過去に抗体検査を受けたことがない又は不明。2.過去に風疹及びMR(麻しん風疹混合)の予防接種を受けたことがない又は不明。3.過去に風疹のり患歴がない又は不明。抗体検査の結果、抗体価が低い(HI法16倍以下もしくはEIA法検査8.0未満)と判明した方はワクチン接種の助成対象です。平成30年11月1日以降はパートナーの男性も助成対象となりました。

予防接種を受けることができない場合は、(1)明らかに発熱(通常37.5℃以上)している。(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らか。(3)その日に受ける予防接種の接種液に含まれる成分で、アナフィラキシーを起こしたことがある場合。(4)その他、医師が不適当な状態と判断した場合。(5)現在妊娠している方、または妊娠の可能性がある方。また、女性の場合、風疹予防接種後2ヶ月間は妊娠を避ける必要があります。

風疹(rubella)

風疹は、感染から14〜21日(平均16〜18 日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現しますが、発熱は風疹患者の約半数です。3徴候のいずれかを欠くと臨床診断は困難です。発疹は紅く、小さく、皮膚面よりやや隆起しています。いずれにせよ、まずは医療機関で診断を受け家でおとなしくして下さい。仕事を休むのが難しければ、手洗い・マスクなどをして、周りに広げないよう気をつけて下さい。また、風疹は「はしか」に似ていますので「3日はしか」と呼ばれることもあります。しかし、はしかと風疹はまったく別の病気です。

風疹は基本的には予後良好な疾患であり、血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)、急性脳炎(1/4,000〜6,000人)などの合併症をみることもありますが、これらの予後もほとんど良好です。風疹に伴う最大の問題は、妊娠前半期の妊婦の初感染により、風疹ウイルス感染が胎児におよび、先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)が高率に出現することです。先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症、その他低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、間質性肺炎、髄膜脳炎、進行性風疹全脳炎、糖尿病などがあります。

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